私の仕事はまだ終わっていない

 私の仕事はまだ終わっていない。それは、この無許可薬品とされて、法律で厳重な拘束を受けている私のゲルマニウムを、どうやって一般大衆の手にゆきわたらせるかということは解決していない。(p.203,L.5)

 具体的には、ゲルマニウム治療の行える施設と、それを運用する組織が必要である。(p.203,L.12)

 国民の健康、福祉のために、私のゲルマニウムを誰か国家の事業としてとりあげ、ひいては人類の幸福のために仕上げてもらいたいという気になったのも、七十四歳のこの頃の私は、非常に疲れているからであろう。
 しかし、何とか死刑執行される前に、終着駅まではたどりつきたいと思うのである。(p.204,L.6)